残 心・・・(2016年6月14日)

2016年6月14日

アメリカ大統領選挙の候補者がいよいよ出揃いました。民主党はクリントン氏、共和党はトランプ氏です。これからまだ本選挙まで数カ月ありますが今回は今までになくマイナスイメージの強い選挙戦となっています。世界一の強大国の指導者が選ばれるわけですから自分を含めて世界の人々に何らかの影響がないわけはありません。

思えば8年前、2009年1月にアメリカ第44代大統領就任演説を行ったオバマ氏はその中で混迷したアメリカの人々に「アメリカ建国の原点に帰ろう」と呼びかけていたものです。次の大統領の就任演説までまだ7カ月以上あります。それまでアメリカは選挙の話でもちきりでしょう。

イギリスではEUから離脱するかどうかという国家を二分した国民投票が今月の23日に行われる予定です。EUという大きな組織に所属すればメリットは勿論ありますがデメリットも大きいようです。ヨーロッパのみならず世界の国々がその結果に注目しています。

国家を二分するような大きな政治的イベントの後は宴の後!の空虚感が残るものです。自由主義国家の2大国が今、内向きになっています。

この間に世界で突発的なことが起きないよう祈りたいものです。

5月を過ぎて3月決算の申告事務の仕事が終わりました。

6月は多くの会計事務所では、ほっとした気持ちとそれまでに残した他の仕事の整理に追われる日々です。

今年は幸いに大きなトラブルもなくスンナリ仕事が終わりました。今はその整理の一方、来年への展望を思い描いています。

ただ、何事もほっとした時に意外とトラブルが起きやすいものです。

 

剣道には「残心」という言葉があります。弓道でも同じです。

全身全霊で打ち込んだ後、相手からの反撃に備えて油断なく身構える、その心構えをいいます。打ち込むだけでなく、直ちに次に備えるための心構えを磨くことは国家であれ個人であれ、どこでも通用する人間としての素養と言えます。

茶道では”余情残心”という言葉があります。茶事が終わって客が帰った後で残り湯を使って茶を点て、客へのおもてなしに不備がなかったかを思い致す心を言うようです。

山上宗二の言葉とされる「一期一会」と共に印象に残る言葉です。

剣道も茶道も共に日本の歴史と文化の原点の一つともいえ、日本人の心のルーツの一つとも言えます。そこに共通する言葉が「残心」という言葉です。

ただ前のみを見つめ、明日の事だけを考えて生きるのでさえ大変な世の中ですが、節目節目で、たった今通り過ぎた過去を顧みて身を正す「残心」の心構えを忘れないようにしたいものです。