北欧に旅して

2016年9月5日

 平成28年9月2日

この夏休みに孫娘と長女のお供をして家内共々、北欧に旅行してきました。日本では夏休みの終盤で、北欧では秋が始まりかけていました。

これまでにヨーロッパ各地へは旅しましたが北欧は初めてです。

狙いは興味あるベルゲンの街を見るのとフィヨルドの観光です。

以前、海外旅行で添乗員の娘さんにどの国が印象的でした?と聞いたとき複数の方から「北欧です」と聞きました。いずれは行きたいと思っていたものです。

それまではノルウェーとスエーデンとフィンランドの違いなどあまり知りもしませんでした。特に興味もありませんでした。聞いてみると中国と韓国と日本の三国の歴史に似ているところもあります。

スエーデンは両国を永く支配した時代があったようでフィンランドなどはロシアにも征服され両大国の間で右往左往した時代が永かったようです。

ただ、国土は広く人口は少なく、ノルウェーは海の幸をフィンランドは森の幸を、それぞれの自然の恵みを豊かに受けて今ではそれぞれが仲良く暮らしているようです。

EUの歴史もそうであるように過去の歴史を踏まえて将来の歴史を作っていくことの大切さを更に思いました。

 

最初がコペンハーゲンです。自分はコペンハーゲンには以前から興味がありました。八ヶ岳の山荘はコペンハーゲンの建築会社から輸入したログハウスです。家具一式はクリスチャン4世というデンマークの老舗からのものです。独特の北欧家具をゆっくり見たかったのですがパックのツアー旅行では無理でした。初めてお目に掛かる人魚姫に挨拶して早々に船でオスロに向かいました。

オスロまでの船旅は4万トンほどの客船で、前方デッキキャビンでの夕食時に、先ほど見学したクロンボー城が左舷真近に見えて感激でした。

コペンハーゲンを出港した船は左にコペンハーゲンがあるシェラン島を、右にはスエーデンの陸地を見ながらオスロまでのゆっくりした航行です。

オスロからはバスで7時間かけてスカンディナビア半島を横断しフィヨルド地区のロストフースに向けてひたすら走りました

バスの車窓から見たハダンゲル高原は森林限界を超えた高地で硬い岩盤の原野が延々と続き、遠くに氷河を見る荒涼とした大地です。日本に帰った翌日、8月31日の産経新聞を見て驚いたものです。ロイター通信によればこの26日にハダンゲル高原で320頭のトナカイが落雷の為、重なりあって死んでいたということです。ノルウェー当局者の話ではこのようなことは見たことが無いとの記事でした。

自分たちのバスがこのハダンゲル高原を通ったのはその事故前日の25日でした。そういえば確かに何か寒々しい光景だったことが思い出されます。

今回の旅の見どころはフィヨルド観光です。中でもフロム鉄道車窓から見るハダンゲルの景観は圧倒的な迫力でした。ベルゲン鉄道で着いたミュルダールの駅からフロム鉄道でトンネルの多い急な下り坂をゆっくりとフロムの街まで下る旅です。この車窓から見えた絶壁に近いV字谷とそこに流れ落ちる凄まじい滝の数々は強烈な大自然の迫力を見せており、他の地域ではまずお目に掛かれません。さすがにノルウェーが世界に誇る強烈な自然遺産と言えます。

フロムからの遊覧船では迫りくる絶壁から何十本という滝が流れ落ちる不思議な光景の連続でした。こちらの大地は固い岩盤の連続で、日本のように降った雨水が大地に浸み込むということが無いようで、そのまま岩盤の上を流れ落ちてくるのです。そのフロムの港に豪華客船クイーンメリー2号が停泊しているのを見て更に驚きました。

5日目の午後、ようやくベルゲンの街に着きました。ブリッゲン地区は港に臨んで立ち並ぶ昔ながらの家々がすっかり傾いており、ご丁寧に窓ガラスはこの傾きに沿って作られていました。ベルゲンはスエーデンに征服される前までノルウェーの首都だった街です。作曲家グリークが生まれた街だそうです。

今回の旅は毎日、朝から夜まで盛りだくさんの行程でゆっくり街中を見る余裕がありませんでした。唯一、ベルゲンの街を少しだけ歩き買い物も出来ました。

ベルゲンからはストックホルムに飛びました。さすがに王国スエーデンの古くからの都で、北欧の大都会です。王宮は港からも近く、その港には日本ではめったに見られない優雅な3本マストの帆船が停泊していました。港に近い街並はなんとなく優雅で落ち着いた情緒が見られます。

ストックホルムの次はヘルシンキです。ここが今回の旅の最後の観光地です。

ヘルシンキも港街です。昼飯に食べたワカサギに似た小魚の素揚げは結構おいしく食べられました。

今回旅したベルゲンにしてもコペンハーゲンにしてもオスロもヘルシンキも皆古くからの港街です。北欧の街がなんとなく風情があって落ち着いて見えるのはやはり港街独特の街のにおいが関係するのかもしれません。海を見ると多くの人は心に落ち着きと安らぎを感じるからかもしれません。

特にオスロの港では2本マスト、3本マストの帆船が現役で港内を行き来しているのを見て何か心が落ち着きました。「近代化」だけではない何かがそこに生きている感じがしたのです。

 

こうして今回の北欧の旅は終わりました。思えば強行軍の旅でした。もうこれが海外への最後の旅かも知れません。

旅から帰って日本の鄙びた温泉への旅行に一層魅力を感じています。まだまだ見ていない日本の良さを改めて感じているのかもしれません。その日本についてまだまだ勉強していない自分を見出したからかもしれません。